「うなぎの調理法は関東と関西でどう違うの?」
「東西の焼き方の境界線を知りたい」
うなぎの蒲焼調理法には背開きをする関東風と腹開きの関西風があることは良く知られていますが、それぞれの境界線はどこにあるのかご存知ですか?
こちらの記事ではその境界線について詳しく紹介するとともに、うなぎのブランドとして知られる浜名湖うなぎについても解説します。
あなたは関東風、関西風どちらの蒲焼がお好みですか?
関東風と関西風の違い
まずはうなぎ蒲焼きの調理法、関東風と関西風の違いについて見ていきましょう。
どこの地域が境界線?
うなぎ蒲焼には調理方法によって関東風と関西風がありますが、その境界線は実は浜名湖やその近くを流れる天竜川だと言われています。
静岡県の浜名湖および天竜川から長野県の諏訪湖までのラインを境目にして東側が関東風、西側を関西風といい、それぞれ蒲焼の異なる調理法が用いられてきたようです。
関東風と関西風の違い
それでは関東風と関西風、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。
1.うなぎのさばき方
うなぎを焼く際にはうなぎの身を開いて調理するのですが、関東風は背中に包丁を入れる「背開き」、関西風はお腹側から包丁を入れる「腹開き」が一般的です。
東西で開き方が違うのには諸説ありますが、武士が多かった江戸(関東)では切腹を連想させる腹開きは縁起が悪いとされてきました。
一方の関西では商人文化が栄え、「腹を割って」話したり商売したりするのが良いとされていたため、うなぎを腹開きで調理されたと言われています。
2.うなぎの串
またうなぎを焼く時に使う串も、関東と関西では違います。
関東風は竹串、関西風は金串と材質が異なります。
3.うなぎの蒲焼の作り方
さらにうなぎの仕上げ方も東西で違い、関東では白焼きをしてから蒸しの工程に入り、最後の仕上げでたれを付けて焼き上げます。
これはせっかちな江戸っ子を待たせることなくおいしく調理するための工夫であったようです。
素焼のあとに蒸すことでうなぎの身は箸で切れるほど柔らかく仕上がります。
関西風は蒸さずに直火でうなぎの身を焼き上げます。
店によっては焼きだけでうなぎをふっくら焼き上げる技術があり、皮は香ばしく身は柔らかい蒲焼になります。
浜松のうなぎはどっち?
浜松は上で説明した通り、関東風と関西風のちょうど境界線に位置するため、関東風と関西風、両方の調理法で仕上げたうなぎの蒲焼が楽しめます。
浜松商工会議所が発行した「2010年版うなぎ本」よると、2010年現在でうなぎ専門店118件あるうち、関東風が90件、関西風が26件、その両方を提供する店が2件あるとされています。
浜松は東西で違ううなぎ調理法のちょうど中央地点にあるため、関東風と関西風の両方が楽しめるという訳です。
一か所で二種類のうなぎの蒲焼が楽しめるなんて、とってもお得ですね!
「浜名湖うなぎ」とは?
「浜名湖うなぎ」は日本のうなぎブランドとして日本で最も有名ですが、どうしてこれほどまでに有名になったのかご存知ですか?
実は浜名湖とうなぎには切っても切れない縁があります。
日本でうなぎの養殖が初めて行われたのは明治時代の東京です。
うなぎの養殖を研究していた服部倉次郎が、体長15㎝ほどのクロコウナギと呼ばれるうなぎの幼魚から養殖に成功しました。
1897年に倉次郎がうなぎの養殖に関する調査で愛知県に行く途中、静岡を通った際に浜名湖を見て「うなぎの養殖に適しているのでは」とひらめきました。
早速調査が始まり、1900年に約8ヘクタールのうなぎの養殖池を浜名湖に作りました。
年間平均気温が15度前後と温暖で、ミネラル分豊富な地下水が天竜川から流れ込んでくる浜名湖はうなぎの養殖に最適。
餌となる小魚が豊富に住み、浜名湖や天竜川河口でうなぎの幼魚が大量に採れたのも、浜名湖でうなぎの養殖が拡大した理由の一つとなっています。
また東京や大阪といった商圏に近く道路や鉄道といった交通が整備されていたのも、うなぎの大量生産を後押ししました。
こうして浜名湖はうなぎの一大養殖地となり、今に続く120年もの長い間、私たちにおいしい「浜名湖うなぎ」を提供し続けてくれています。
浜松市内でも、もちろんうなぎは人気です。
うなぎ蒲焼の消費量は浜松市が全国ナンバーワン。
また一世帯当たりのうなぎ蒲焼の購入金額も、10年連続で全国一位となっています。
浜松のうなぎは環境省が定める「かおり風景100景」にも選ばれ、2007年には「浜名湖うなぎ」が県で認定している「しずおか農産物認証」の水産物部門で第一号認証を得ました。
浜松うなぎのゆるキャラ
浜松名産のうなぎは、ゆるキャラにもなっています。
浜松名産のうなぎは、個性あふれるゆるキャラにもなっています。こちらでは浜松うなぎがあしらわれたゆるキャラ3体を紹介します。
◆うなぎ+サツマイモのゆるキャラ「うなも」
浜名湖はうなぎの養殖が盛んですが、そこで出たうなぎの骨や頭など、普段捨ててしまう部分を肥料として再利用してサツマイモを栽培し始めました。
もともと遠州地方では何百年も前からサツマイモ栽培が盛んに行われてきましたが、浜松名産のうなぎとサツマイモという二つの郷土食材をコラボして作ったのが、浜松限定ブランド「うなぎいも」です。
そのゆるキャラとして、体はうなぎ、頭はサツマイモという謎の生き物「うなも」が誕生しました。
うなぎいもの公式ホームページではこのブランドにちなんだサツマイモ商品を紹介するとともに、SNSやブログ、YouTube等でも情報を発信しています。
参考:うなぎいもプロジェクト
◆はままつ福市長「出世大名家康くん」
浜松市にある名城「浜松城」に17年居城し、その後天下統一を成し遂げた出世大名といえば、ご存知徳川家康です。浜松市では浜松に「福」をもたらすマスコットとして、「出世大名家康くん」を誕生させました。
2015年のゆるキャラグランプリでは堂々の第一位。出世大名はゆるキャラとしても天下統一を果たしました。
武士のトレードマークであるマゲには浜松名産の浜名湖うなぎをあしらい、浜松を元気にするため浜松の魅力を発信する仕事をしています。
参考:浜松市マスコットキャラクター はままつ福市長「出世大名家康くん」
◆浜松市マスコットキャラクター「出世法師直虎ちゃん」
「出世法師直虎ちゃん」は、徳川四天王と呼ばれた井伊直正の養母であり、浜松生まれ浜松育ちの井伊直虎がモチーフになっています。
井伊家の後を継ぐ男子が幼い直正だけだったこともあり、一度は出家した身の直虎が領主として井伊家を支え、優れた政治手腕で後世に語り継がれる女領主になりました。
直虎が長槍の名手だったこともあり、直虎ちゃんの右手には開運の気を振りまく「うなぎの思い槍」が握られています。
前出の家康くんと共に浜松の魅力を全国に発信し、女性や子どもが住みやすい街になることを目標としています。